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ケガからの復帰を経て 〜 中西選手インタビュー 〜


新人選手として初めて臨んだ第12回Vリーグは、ケガというアクシデントにより試合出場を果たすことができなかった中西選手。悔しく、苦しい思いをしたからこそ見えた、さまざまなものや、思い。5ヶ月ぶりに実戦復帰を果たしたサマーリーグ東部予選の手ごたえ、決勝大会に向けた抱負、そして今季、自身が掲げる目標とは――。

◆初めてのVリーグで痛感させられたこと

中西 了将 (なかにし・りょうすけ)
セッター
S57.5.7生まれ・北海道出身

――昨年は中西さんにとって最初のリーグになりましたが、初めてのリーグは中西さんの目にはどのように映りましたか?
中西:僕の場合はケガをしたということもあり、そのマイナス部分もいい意味で捉えなければいけないと思っていましたので、割り切って自分のチームや他のチームを見ることができました。力だけでは勝てないということも含め、Vリーグは長いと改めて感じました。 そのなかでも目標を達成したチームというのは、やはりトータルでほぼ波がなく、後半に調子を整えて最後に上がってきていました。うちは前半よかったですが、ケガ人が出てしまい、ベストメンバーがなかなか揃わず、そのなかで7番目、8番目の選手に力がなかったと痛感しました。他のチームは交替で出た選手も、チームに馴染んで力を出しています。そういった意味では、チームにプラスになれる存在がいるチームは強いと感じさせられました。

――善し悪しの波が大きかったですね

中西:そうですね。波が激しかった。悪いときにチームの雰囲気を変えられるような雰囲気や能力を持った、ガラっといい方向に持っていける選手が出て行かないといけないでしょうね。もともとブルーロケッツはおとなしいイメージがありましたが、実際のリーグを通しては、落ちこんでいるときに、何もアクションを起こさずにそのまま行ってしまう流れを感じましたね。たとえば東レなどは、そこで声を掛け合ったり、わざと騒いだりします。見ている側としても気持ちがいいと思いますね。そういう部分はうちも取り入れていかなければいけないと思います。

――中西さんのケガの状態はどのような状態だったのでしょうか?
中西:僕はゲーム形式の練習中にボールを取りにフライングをして、そのまますぐに切り返したら、膝が内側に入ってしまって、半月板の外側にヒビが入ってしまいました。損傷部だけを取る予定だったのですが、位置がよくなかったので、縫い合わせて止めることになり、時間もかかってしまいました。手術をするのも初めての経験だったので、悪いほうに考えていたらどんどん落ち込んでしまいますが、竹内さんのように膝の手術をした経験のある方もいましたし、同じ時期に菊地さんも膝をケガしていたので、そういった部分も含めて前向きに捉える努力をしました。 プレーをしているだけでは見落とすことも多いと感じたので、ケガをしたおかげで冷静に自分のチームを見られたし、自分のプレーについても考えることができて、この経験もプラスに生きていると思います。


◆サマーリーグは「チームづくり」に重要になる大会

――サマーリーグも、昨年の大会と今年の大会とでは中西さんには意味合いが違っていましたか?

中西:プレーはそれほど変化もないと思いますが、一番大きいのは気持ちの部分ですね。気持ちが据わるというか、1つ1つ冷静に対処できたというのが今年のよかった点だと思います。今年のサマーに向けて自分で考えていたのは、どれだけ冷静にできるかということだったので、劣勢時にも自分自身が熱くなる気持ちを押さえてプレーすることができてよかったと思います。 去年を思い返すとフワフワした感じですね(笑)。入社したばかりで、研修もあるし、ボールに手がつかない感じでしたし、周りの選手も素晴らしい先輩方ばかりなので、気持ちで負けてしまっていた部分がありましたね。

――では今年の東部予選を振り返って、中西選手は2試合に出場されましたが、久しぶりの公式戦はいかがでしたか?
中西:昨年の11月にケガをして、2月に手術。実戦は5カ月ぶりだったので、リハビリの1つの区切りとして試合に出場しました。 プレーの感覚云々というより、試合の流れのなかで自分が「こうしなきゃいけない」という“試合勘”がなかったなという感じはありましたね。1つ1つのプレーを振り返ると、着々と戻ってきているかなという手ごたえを感じました。

――今年のサマーリーグ決勝大会はVリーグのチーム同士の対決になりますね
中西:予選に関しては、V1のチームが主体でしたし、そういった意味では勝たなければいけないという気持ちを持って戦っていたと思います。決勝でVのチームとできるのは、僕としてはチャレンジしようという気持ち、思いきりやればいいんだという思いが強いですね。そのなかで自分の通用する部分やまだ足りない部分、チームの現状の力が確認できるので、いい大会になりそうだと思いますよ。

――ご自身を含めチーム全体としてどのような部分が見どころでしょうか?
中西:他のチームも若手中心だと思うので、完成度は落ちるかもしれません。でもそこで何ができるかと考えたときに、先ほども言いましたが、東レのように声を出してみんなが一丸になって盛り上がっているムードなど、「盛り上げていく」という部分はやらなければならないテーマだと思います。それがいい方向に進み、「こういう雰囲気でやればいいんだな」とみんなが思うことができれば、チーム自体もそういう雰囲気になっていくと思います。プレーももちろんですが、広い視野で「チームづくり」を捉えたうえでも、とても重要になる大会だと思います。



◆テーマは「調整力」

――今年は高橋選手が移籍してきて、また新たなタイプのセッターが加わりましたが、自分のなかの目標やカラーなどは変化しましたか?
中西:去年は「先輩セッター2人のいい部分を取り入れよう」という考えだったのですが、今年はあまり他の選手を意識するというのではなく、まず自分のことをみつめて、1つずつ確認しながら着実にステップアップできるように、焦らずやっていこうかなという感じです。実は僕のなかで、今年のテーマはちゃんとあるんですよ。

――今年のテーマ? ずばり何でしょうか?
中西:調整力です。たとえば、カットが崩れてその延長上でトスも崩れると、最終的にはアタッカーにストレスがかかります。そうなると、どれだけ相手のブロッカーを振ったとしても、そこでわだかまりができてしまいます。たとえばレシーブやカットが悪かったとしても、100の状態でトスを挙げるのが理想だとすれば、崩れた状態でもその100に近いトスをアタッカーに挙げることができるかどうか。もしもそれができたとしたら、レシーバーも楽になりますよね。その部分の「調整力」を身につけて、結果として出していくのが今年の僕の目標です。

――レシーバーとアタッカーのつなぎ役としての重要な部分ですね
中西:アタッカーを乗せていくのも、レシーバーを乗せるのもセッター次第だと思います。たとえどれほど自分がいいプレーをしていても、結局セッターというのは中間にボールを触るポジションですので、どれほど自分が乗ったとしてもそれだけでは試合に影響することはありません。個を突出するのではなく、僕は僕のまま、そのまま一定のリズムでトスを挙げて、レシーバーとアタッカーのバランスを取りながらプレーすることが求められている役割だと去年のリーグからも学びました。 今はサーブも強いので、レシーブが崩れてしまうのも仕方がない部分もあります。そこでどれだけ割り切って、どういうトスに持っていけるか。それによってアタッカーも、相手ブロックが2枚だろうが3枚つこうが関係ないと思うし、自分が気持ちよく打てるトスが上がってくれば、うちのサイドアタッカーは決められると思います。アタッカーの力を引き出す意味でも、セッターの調整力が重要だと思います。

――雰囲気作りにもつながることですね
中西:今のプレーに対して誰が悪いと、暗黙の了解にするのではなくて、誰かがミスしたら次に触る人が絶対にカバーしないといけない。僕も人間なので100%のトスを上げるのは難しいし、どのセッターをみてもそんなことのできるセッターはいないかもしれません。ただ、それをどれだけ近づけようという気持ちで上げているか、それがアタッカーに伝わっているかというのが、サイドアタッカー、ミドルアタッカーの決定力につながっていると思います。大事な部分ですよね。調整力のなかには技術も入っているし、気持ちの面も入っています。大きなテーマですね。

――調整力をテーマに、次の13回Vリーグはどのように戦っていきたいですか?
中西:試合が続けば勝つこともあれば負けることもあるし、つらいときもあると思うのですが、そのなかでももっと楽しんでプレーできる環境を目指していけば、自分が出た試合でも、出ない試合でも「楽しむ」「楽しませる」ことをチームでの役割だと受け止めていけばいいんじゃないかな。12回のリーグは前向きに捉えようと思ってはいても、気持ちがへこむときも、「もうダメなんじゃないかな」と思ってしまったこともありました。でもそこで自分自身何ができるかを考えたときに、「ゆっくり冷静に見られるときでなければできないことがある」と割り切って、サポートに回りながら、じっくり1人1人のアタッカーのフォームを確認していました。客観的に見ることで、「この選手はここが悪いんだ」とか、「こうしたらいいのかな」と思ったり、他のチームのセッターを見て「こう上げるとこうやってアタッカーが打つのか」ということも勉強になりました。考えたこと、学んだことが1つでもできれば自分のなかでステップアップしたと言えるのではないかと思っています。

――まずはサマーリーグ決勝から、たくさんの方が応援してくれていると思うので、最後に応援してくれる方々に向けてメッセージをお願いします

中西:普段も周りの方々に感謝はしていたのですが、試合にも出ていない、活躍もしていない選手をすごく暖かく支えてもらい、ありがたい気持ちでいっぱいでした。ケガをしたときから面倒をみてくれたトレーナーの内藤さんやスタッフ、チームメイト、会社の方からも「ケガ大丈夫か?」と声をかけていただき、ある種の感動じゃないですけど、みんなが期待してくれているんだと感じることができました。 いろいろなスポーツを見ていても「どんな選手が好き?」と言われたら、その多くが活躍している選手ですよね。でもそのなかで、これからの選手を応援してくれる人への感謝はとても強く持っています。活躍する選手だから応援してくれるというわけではなく、ちゃんと僕のことを見てくれているということを強く感じましたので、今度は逆に僕が恩返しをしなきゃいけないと思います。自分1人ではなくて、多くの人と一緒にバレーをしていることを改めて再確認しましたので、自分が活躍することだけでなく、支えてくれる人たちへ恩返しという意味でいいプレーができるということが一番の思いであり目標です。僕のなかでまず大きなイベントとなるサマーリーグ!ケガはもう大丈夫ですので、楽しみにしていて下さい。

(文:田中 夕子 )

  
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