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世界最終予選を振り返って
〜 男子バレー16年ぶりの五輪、北京五輪への決意 〜

 バルセロナから遠ざかること16年。苦節のときを越え、ついに悲願であったオリンピックへの出場権を男子日本代表チームが手にした。8チーム中わずか2チームしか得ることのできないキップを巡って繰り広げられた熱き戦いを松本慶彦選手、大竹秀之コーチとともに振り返る。  

 参加選手全員が「最初であり、最大の関門」と口を揃えた強豪・イタリアとの初戦。1セット目を先取されながらも、第2、3セットは日本が連取する。勢いは途切れず、第4セットも日本はサーブ、ブロックでイタリアを攻め、24−17とマッチポイントを迎える。
「あと1点」。初戦での金星を、誰もが信じて疑わなかった。  
 だが、ここでの1点はとてつもなく重い1点だった。イタリアのジャンプフローターサーブに守備を崩され、連続失点を喫する。そして、まさかの逆転負け。松本選手も「あのような場面から、それもあれだけ点差が離れたマッチポイントから逆転されたことはない」と振り返る。

 しかし、外から見れば「信じられない1敗」は、チームを後ろへ引き戻すのではなく、前へ進む起爆剤となる。松本選手、大竹コーチが「あの1敗、あの1点があったから、出場権を取れたと思う」と口を揃えるように、翌日のイラン戦で初勝利を挙げると、続く韓国、タイのアジア勢も退ける。  
 序盤は「クイック、ブロック、どちらも仕事ができなかった」と厳しく自己評価を下す松本選手自身も第3戦の韓国との試合できっかけを掴み、サーブ、ブロック、クイック、すべてのプレーでチームに貢献。
「松本のサーブで崩してくれるから、得点が入るだろうという安心感がありました」と大竹コーチからもお墨付きを与えられた松本選手の安定したプレーがチームに流れを呼び込み、「アジア最大の敵」と目されたオーストラリアも3−0のストレート勝ちで打破する。  
 オリンピックまで、いよいよマジック1。4大会ぶりの出場権を賭け、全日本が挑んだのは世界ランク6位のアルゼンチン。わずかに残された出場権獲得に向け、アルゼンチンも死力を尽くす。まさに激闘。勝敗の行方は、2−2のまま最終セットへと託された。両者互いに譲らず9−7と日本が2点をリードした場面で、松本選手が2本連続でアルゼンチンのクイックをシャットアウト。
「自分のサインと監督のサインが同じだった。自信を持って、飛びました」  
 最後まで苦しみながらも、第5セットを20−18で奪い、16年ぶりの出場権を掴み取り、選手たちはコートで抱き合い、称え合いながら男泣きした。

 最終日のアルジェリア戦もストレート勝ちで締めくくり、終えてみれば6勝1敗の2位という堂々の成績を残し、男子日本代表チームは世界最終予選を終えた。  
 だが、いつまでも歓喜に浸ってばかりはいられない。今週末からは、中国、エジプト、ポーランドへの遠征を含むワールドリーグが開幕する。休息の間などない。松本選手は「大変なのはこれからだと思っています」と言う。しかし、バルセロナオリンピックを知る大竹コーチは「観に来る人も『オリンピック選手の試合を』見たいと思って来てくれる。でも、それに恥じないものを見せられる自信はこの大会でついたはずです」と胸を張る。  
 日本中に感動を与え、そして次なるステージへ。ようやく日本男子もスタートラインに立った。  

(取材・文:田中 夕子)

※インタビューの詳細は、 来月発行予定のファンクラブ会報誌に掲載いたしますのでお楽しみに!