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2008年度新加入選手記者会見レポート
      

 昨シーズン、トップリーグ4強入りを逃したNECグリーンロケッツに、強力な新戦力が加わった。3月31日に行われた入団発表記者会見で、細谷直監督は、「85年の創部以来史上最高の補強ができた」と表明。来るべきシーズンでの4強入り、そして日本一奪回を誓った。

 今季から加わった新戦力は6名。  
 FWが、大学日本一に輝いた早稲田大学から、臼井陽亮(うすいようすけ=HO、181cm、100kg)、権丈太郎(けんじょうたろう=LO/FL/NO8、184cm、98kg)、大学ベスト8の東海大学から宮本誉久(みやもとたかひさ=FL、180cm、98kg)の3名。  
 バックスが、韓国代表でもあるSHアン・スンヒョ(183cm、90kg)、日本代表で昨シーズンまで名門リコーに在籍したニュージーランダー、 ブライス・ロビンス(183cm、90kg=日本代表キャップ10)、筑波大学で活躍したFB吉廣広征(よしひろひろまさ=180cm、86kg)の3名。  
 つまり、2名のインターナショナル級選手と大学ラグビーで高い評価を受けた4名の選手が加わったことになる。細谷監督が「即戦力」と胸を張るのも当然のことだろう。  

 東海大学出身の宮本は、昨シーズンはキャプテンを務めてチームをリード。関東学院大学とリーグ戦で1点差の死闘を演じ、大学選手権ではベスト4をかけて慶応大学と戦うなど、躍進の原動力となった。持ち味は激しく低いタックルとボールへの働きかけ。現在のグリーンロケッツのメンバーでは、ベテランの大東毅に通じる渋いプレーが身上だ。  
 記者会見では、「NECという、FW第3列にトップリーグでもトップのメンバーが揃ったチームで、思い切り学ぶことができる。自分を高めるのに非常にいいチームなので、毎日の練習から積極的に自分をアピールして、早くレギュラーになりたい」と抱負を語った。  
 権丈は、早稲田大学でやはりキャプテンを務め、豊富な運動量と抜群のスピードで大学ナンバー1FWを引っ張った。その活躍ぶりは有名だが、NECでは、あえて箕内拓郎、グレン・マーシュ、浅野良太といった好選手がひしめく第3列でのポジション獲りを狙う。  
 「僕の持ち味はスピード。ボールをもらいに行く時のスピードでも、タックルに入るスピードでも、反応の早さでも、あらゆるところでスピードを磨いていきたい」と言う。  
 権丈とチームメイトだった臼井は、東芝と対戦した日本選手権での働きが、細谷監督から高く評価された。今季、副将としてチームを引っ張る水山尚範も同じHOだが、細谷監督は、「今から水山に“すごい選手が来るぞ”とプレッシャーをかけています」と、熾烈なポジション争いでのチーム活性化を思い描く。「FWとして自分が目標とする選手が多い」というのが臼井のNECに対する印象だが、記者会見では「日本一になるために入った。日本一のチームの2番を着られるように頑張りたい」と力強く宣言した。

宮本 誉久 (みやもと たかひさ)
フランカー
180cm・98kg・22歳
権丈 太郎 (けんじょう たろう)
ロック・フランカー・NO.8
184cm・98kg・22歳
臼井 陽亮 (うすい ようすけ)
フッカー
181cm・100kg・22歳

 
 細谷監督は、昨シーズンの試合を振り返って、スクラム、ラインアウトといったセットプレーの安定を今季の目標に掲げるが、その意味でも臼井の補強は大きい。また、ベテランが頑張るFW第3列に、権丈や宮本といったフレッシュな選手が挑戦することも、チームの活性化にプラス。  
 細谷監督が言う。  
 「宮本も、権丈も、他チームに行けば1年目からレギュラーになれる力を持った選手なのに、よくウチを選んでくれた。1、2年ほど今の第3列の選手の後ろ姿を見習いながらレギュラー争いをしてくれれば、非常にバランスが取れたチームになると思う。」  
 ベテランがレギュラーを張るチームは戦力的に安定しているが、それが新旧交代の遅れとなって将来的にチームの障害となる場合も多い。それだけ新旧交代は難しいが、NECはそれを見越して即戦力を補強した。これは、ベテランへの刺激となるだけではなく、新人にも焦らずに社会人の厳しさに適応できるゆとりを与えることになる。両者にとって、理想的な補強なのである。

BRYCE ROBINS(ブライス ロビンス)
センター
183cm・90kg・27歳
安 承■ (アン スンヒョ)
※■は火へんに赫
スクラムハーフ
183cm・90kg・25歳
吉廣 広征 (よしひろ ひろまさ)
フルバック
180cm・86kg・22歳

 
 一方、昨シーズンはいい意味でも悪い意味でもSOヤコ・ファンデルヴェストハイゼンに頼り切りだったバックスには、ブライス・ロビンスが加わった。  
 これは、何よりのビッグ・ニュース。「ヤコが基本問題から応用問題まで一人でやっていた」(細谷監督)チームに、新たに強力な攻守の核ができることになるからだ。  
 リコーがロビンスのリリースを発表するや、複数のチームが獲得に動いたが、NECはすんなりと意中の“恋人”を射止めた。決め手は「NECには友人がいるから」(ロビンス)だった。  
 昨年のロビンスは、日本代表の中核選手として活躍。当初は本来のポジションであるCTBでプレーしていたが、負傷者続出のジャパンにあって、バックスのあらゆるポジションでのプレーを余儀なくされた。特に、終盤の猛追及ばず31─35と敗れたW杯のフィジー戦で、慣れないSHを務めた場面は、覚えているファンも多いはず。NECではCTBとして起用されることが有力だが、本人は「チームの意向に従う。やれと言われればHOだってやるよ(笑)」と、ジョークを交えてポジションにはこだわらないことを言明した。細谷監督も、「ヤコのSO、ブライス、安藤(栄次)のCTBなど、いろいろな組み合わせが考えられる。日本代表経験のある外国人選手が、従来の外国人選手枠とは別に出場できるようになるので、楽しみですね」と期待を寄せる。

 ブライスとは別に、やはり細谷監督が“一目惚れ”したのが、アン・スンヒョ。アンが韓国代表SHとして日本とのテストマッチに後半から出場したのを見た細谷監督が、積極的にアプローチした。身長183センチは、トップリーグ随一の大型SH。100メートルを11秒6で走るスピードも魅力的だ。4月26日には、日本対韓国のテストマッチが予定されているが、アンは韓国ラグビー協会から呼ばれない限りはチームに帯同。本人が「難しい」という日本語の習得に励む。  
 アンの加入で、ベテラン辻高志との激しいポジション争いが予想されるが、辻とはまったく持ち味が違うので、チームに新しい選択肢が加わったことは間違いない。トップリーグに設けられたアジア選手枠で他の外国人選手とバッティングせずに試合に出場できる点も大きなプラスだ。  
 会見で自ら「この中では僕が一番無名な選手です」と言って笑わせた吉廣は、本人の言葉とは裏腹に、堅実なフィールディングと強いディフェンスで知られた選手。昨シーズンを通してFBとしてプレー。その面白さに開眼したが、本来はCTBの選手でもあり、アタックのセンスも抜群だ。NECは昨シーズン、FBの武井敬司が負傷がちで、本来SOの松尾健がFBに入ることが多かった。吉廣の加入は、層が薄かったバックスリーへの理想的な補強と言える。  
 「高校(桐蔭学園高校)、大学と泥臭いラグビーをやるチームにいたので、NECは自分のイメージに一番近いチームです」というのが、吉廣がNECを選んだ理由だ。

 31日の会見では、NECの新しい体制にも質問が飛んだ。細谷監督は、熊谷キャプテン、箕内、安藤、水山に若手の櫻谷勉(CTB)の4名が副将という体制を、「最高傑作」と評価して、こう話した。  
 「熊谷のキャプテンは、本人にとってもノーマークだったらしく、伝えたらキョトンとしていましたが、彼はチームのなかで一番責任感が強く、求心力のある選手。とにかく今年は結果を出さないといけないシーズンなので、絶対的な存在のキャプテンが欲しかった。チームカラーを考えれば、キャプテンは絶対にFWから選びたかったし、その意味でも熊谷が適任でしょう。  
 副将も、箕内は熊谷がケガなどでグラウンドに立てない時にキャプテンを務めることができるし、ここぞという時の存在感がある。水山は、将来のキャプテン候補として、筆頭バイス・キャプテンにしました。そのためにも、臼井とのポジション争いに目の色を変えてチャレンジすると思います。それがまた、チームの活性化につながる。安藤はバックスの中でしっかりしたリーダーだし、櫻谷は、これからのチームを担って欲しい存在ですね。」  
 NECは、現在ウェイト・トレーニングなど基礎的な練習を行なっているが、4月には18日からと25日から、それぞれ1泊2日の予定でFWだけのスクラム遠征を行う予定。5月1日から6日にかけては、菅平で春期合宿を行なってチームの意志を統一する。  
 有力な新戦力が一挙に6名加わったグリーンロケッツがどんなスタイルに生まれ変わるのか──5月17日のIBMビッグブルー戦から始まるオープン戦は見逃せない。

(取材・文:永田 洋光)