ヤコ選手の50m"ミラクル"PGでグリーンロケッツが接戦を制す!


残り3試合、ついに佳境を迎えたTL

 前節、今シーズン一番の"ベストバウト"で神戸製鋼コベルコスティーラーズ相手に歴史的勝利を挙げ、マイクロソフトカップ出場を決めたNECグリーンロケッツ。トップリーグ(以下TL)も残り3試合といよいよ佳境を迎え、トップグループと勝ち点5点差で4位と優勝戦線で戦っている。
そんな中、"聖地"の秩父宮ラグビー場で行われた第11節は、現在11位と降格危機の瀬戸際にいるワールドファイティングブル。しかし、昨季のTLでは苦汁をなめているだけに、きっちり快勝してトップグループを追走したいところだ。

両チーム一進一退の前半戦
 バックスタンドに、辻選手や熊谷選手の応援の横断幕がたなびく中、雲一つない快晴のもと12:00ちょうどにグリーンロケッツボールでキックオフ。
 試合早々、NO.8箕内キャプテンの激しいタックルから相手ボールを奪う"ジャッカル"が見られるなど、前節の勢いのままDFの意識が高いグリーンロケッツ。6分、FLマーシュ選手の突破の後、「スペースがあるのを感じていました」と言うLO浅野選手の飛ばしパスをキャッチしたSOヤコ選手が、相手を片手で押しのける"ハンドオフ"で相手タックルをかわして先制トライ。さらに10分、今度はヤコ選手からのパスを受けたWTB窪田選手が、自慢のスピードで相手を抜き去り、12−0とリードする。

 そのままグリーンロケッツが主導権を握るかと思われたが、12分、グリーンロケッツのFWに対抗するため、外国人選手をFWに2人入れて臨んできた相手に簡単にモールでトライを許してしまう。さらに、ゴール前まで攻め込むも、自分たちのミスからトライを奪われ12−12の同点となってしまった。

 その後、試合の流れは一進一退に。20分、今度は、グリーンロケッツ自慢のFWが力を発揮する。ゴールまでのラインアウトからモールを形成し押し込み、最後は右に展開。ヤコ選手が相手を十分引きつけ、フィニッシュは、久しぶりにケガから復帰しスタメンに名を連ねたFB武井選手。だが、26分、攻め込むも、相手ゴール前でターンオーバーされ相手のWTBに独走トライを許し、再び17−17の同点に。30分以降、流れが悪いと感じたのか、箕内キャプテンは、ゴール前での相手反則に冷静にPGを選択。2本ともヤコ選手が落ち着いて決めて、23−17と6点リードして前半を終えた。
 "スーパーブーツ"がチームを救った!


 後半開始早々、相手選手が2人、故意の反則によりシンビン(10分間の一時的退場)となり、一気に畳みかけたかったグリーンロケッツ。だが、12分、チャンスを活かしきれず、相手ゴール前でインターセプトを許してしまい、そのままトライを奪われ逆転されてしまった。優勝の可能性を残すためにも負けられないグリーンロケッツは、すぐに反撃。20分、再び浅野選手の柔らかい飛ばしパスを受けたWTB大東選手がトライを挙げて30−24と再びリードする。だが、今度は、逆に箕内キャプテンが故意の反則とみなされシンビンに。直後の25分、モールからトライを奪われ、30−31と再び1点リードを許してしまった。
 残り10分強、1点を争うシーソーゲーム。次の得点をどちらが取るのか……緊張感が秩父宮ラグビー場全体を包みこむ。そんな中、32分、センターラインから5mほど敵陣に入ったところで相手が反則を犯す。ヤコ選手は迷わずゴールを指さし、観客席からはどよめきが起こった。しかし、50mの超ロングキックはあと少しのところで届かず、直後の34分も40mのPGを横に外してしまった。そして、試合は、1点リードされたまま間もなく40分を迎えようとしていた。ちょうどその時、相手がグラウンド中央で反則を犯した。ロスタイムは3分、タッチに蹴る選択肢もあったはずだ。だが、「50mは私の射程圏内」とキッパリ言い切ったヤコ選手は、再度50mのPGを狙った。南アフリカ代表として、そして、2度外していた男の意地だったのだろう、前の2本より慎重にボールをセットし、ゴールの方を一瞥し助走を開始。"スーパーブーツ"の右足から放たれたボールは、やや逆風の中、低い弾道でゴールへとまっすぐ向かう。届くか届かないかギリギリだったが、最後はクロスバーの上で跳ねて見事に決まり33−31と再々逆転。試合は、そのままノーサイドの笛を迎え、グリーンロケッツが辛うじて7勝目を挙げた。

 

 残り試合連勝で"ミラクル"の再現を目指す!

今日の試合、結果だけ見れば、トライ数によるボーナスポイントも加え、勝ち点5として"ノルマ"は達成した。だが、試合内容は、FW戦でも優位に立てず、ディフェンスから反撃する十八番のターンオーバーも逆に相手にやられる場面が多かった。高岩ヘッドコーチ(以下HC)も「ワールドの激しさを受けてしまった」と言うように、下位チームと言うことでどこか油断があったのであろうか。前半の2トライ先制した後のディフェンスと、後半の2人多いアドバンテージを活かすことができなかったことが反省点として挙げられる。箕内キャプテンも「先週の試合と比べ、気持ちの部分で待ってしまった気がする。(ディフェンスの)反応もちょっと遅くなってしまった。改めてTLの上位下位とのギャップがないことを痛感させられた試合だった」とリーグの厳しさを語っていた。  次節、来週26日(日)4位のグリーンロケッツは、愛知の瑞穂競技場で3位のトヨタ自動車ヴェルブリッツとの対戦。優勝争い、そしてリーグの行方を占う大一番を迎える。箕内キャプテンは「今日の反省を活かし、今まで以上の集中力で良い試合をしたい!」と語り、高岩HCは「激しいラグビーであと2試合勝って、優勝戦線で戦っていきたい!」と力強いコメントだ。ヤコ選手の"ミラクル"PGで、逆転勝利を挙げ優勝争いに踏みとどまったグリーンロケッツ。"ミラクル"と言えば、一昨年シーズン、東日本社会人リーグ7位から、日本選手権優勝を果たしたグリーンロケッツの代名詞。上位4チームに完全に絞られた優勝争いは、グリーンロケッツにとって厳しい状況ではあるが、2連勝で"ミラクル"が再現されることを期待したい!

                                           
                                                    (取材・文・写真 斉藤健仁)

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